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夜の歌

マーラーの交響曲第7番のタイトル。

日本語で「夜の歌」というと、夜のことを歌っているように思いますが、ドイツ語ではLied der Nacht。
Nachtは女性名詞でderは定冠詞dieの2格(所有格)です。
つまり「夜が作った歌」という感じ。

「夜についての歌」という場合はLied von der Nacht。

高校生のときに初めて聴きました。
ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団による演奏。

当時は賑やかな第5楽章をよく聴いていましたが、幻想的な第1楽章も魅力的です。
第1楽章ではテノール・ホルンという珍しい楽器が使われ、幻想的な雰囲気を醸し出しています。
靄のかかった湖に居るような雰囲気。

色々な演奏を聴きましたが、一番気に入っているのはオットー・クレンペラー指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団によるもの。
第1楽章から第5楽章まで異常とも言える程遅いテンポ。
まるで一つ一つの音に意味を持たせようとしているのか、あるいは微妙な味付けをしようとしているのか、最後まで緊張感の途切れない演奏。

第4楽章がとてもロマンティックです。
夏の夜、高原の人気のない駅で新妻聖子さんのような清楚な女性が一人、恋人との再会を待っている、そんな情景が心に浮かびます。

テオドーア・シュトルムの短編小説「海の彼方より」の中で、幼馴染の男女が泉の前で再会する場面がありますが、それにもぴったり合いそうな曲です。

夜、それは昼間が考えているよりも深い世界。
Die Welt ist tiefer als der Tag gedacht.
(世界は昼間が考えたよりも深い。)


フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ニーチェの詩の1節です(「ツァラトゥスラはこう言った」の第3部と第4部に出てきます)。

なお、マーラーは交響曲第3番の第4楽章でこの詩を使っています。